〔個人事業主向け〕小規模事業者持続化補助金の書き方

ビジネス・経営




個人事業主向けに採択されるための小規模事業者持続化補助金の書き方を紹介しています。

あなた

小規模事業者持続化補助金を申請したいけど、どうやって様式を書いたらいいの?採択されるためのコツを教えてほしい。

小規模事業者持続化補助金の採択率87%を誇る私が、そんな個人事業主の方の疑問を解決したいと思います。

ただ、私は申請書を代行するようなビジネススタイルは好きではないので、あくまでも事業者様と一緒に事業計画を考え、採択されるための書き方をアドバイスしていることを申し添えておきます。

この記事で伝えたいこと

  • 小規模事業者持続化補助金とは?
  • 採択されるための経営計画書(様式2)の書き方
  • 採択されるための補助事業計画書(様式3)の書き方

小規模事業者補助金とは?

小規模事業者が経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みに対して、原則50万円の補助金が出る制度です。

制度の内容

以下で、小規模事業者持続化補助金の制度内容を記載しています。

小規模事業者とは?

常時使用する従業員の数が20名以下(商業・サービス業においては5名以下)の事業者のことです。

業種分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 従業員20人以下
商業・サービス業 従業員5人以下

補助金額と補助率

原則、50万円が上限金額。補助率は2/3。例えば、75万円を支出した場合、その2/3の額の50万円が補助される。また、30万円を支出した場合、その2/3の額の20万円が補助される。150万円支出した場合、2/3の額は100万円であるが、上限額の50万円しか補助されない仕組み。

補助対象経費

補助対象経費と補助対象外経費の区分はあるが、販路開拓に資する取り組みであればほとんど補助対象となっている。例えば、チラシの作成、広告費用、HP・ブログの作成費用、店舗レイアウトの改善などはすべて補助対象経費となる。
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補助金をもらえるタイミング

精算払いであり、対象経費について自己資金または融資により支出し、報告書や証拠書類を提出した後、支出金額に応じて補助金がもらえる。

採択率

全国平均で、30%~40%くらい。

補助金と助成金の違いは、補助金は競争審査であり、誰もがもらえるわけではなく、採択された事業者が補助を受けられるが、助成金は条件を満たせば誰でも受給できる。厚生労働省関連は助成金がほとんど。

申請書類の種類

様式は様々な種類がありますが、一般の事業者が使用する様式は様式1~5です。中でも、メインの様式は、様式2の経営計画書と様式3の補助事業計画書になります。

採択される申請書類の書き方

事業者を悩ます様式2の経営計画書と様式3の補助事業計画書について、採択されるための書き方について紹介したいと思います。

申請書は、「・・・です・・・ます」といったですます調ではなく、「・・・である」といったである調で記述します。

経営計画書から補助事業計画書までの全体を通して、「経営の状況や目標を明確化し、経営の目標を達成するための方策として、補助事業(=販路開拓に関する取り組み)を実施する」という流れ(=ストーリー)になっており、補助事業の必要性について、審査員である第三者に対する納得性のある記述であることが重要です。

採択されるための経営計画書(様式2)の書き方

小規模事業者持続化補助金の様式2である経営計画書の構成は、1.企業概要、2.顧客ニーズと市場の動向、3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み、4.経営方針・目標と今後のプランの大きく分けて4つです。そのそれぞれについて、採択されるための書き方をご紹介します。

中小企業診断士を勉強されている受験生にとっては、上記の項目が意味するもの、申請書の流れについて理解できますよね。現状を分析して、目標や方向性を定義し、経営課題を抽出、そして課題解決策を提言する、まさに中小企業診断士の役割である診断・助言のストーリーですね。

企業概要

企業概要で記載すべき項目は以下とおりです。持続化補助金は書面審査です。審査員は自社のことを誰も知りません。自己紹介・自己PRのつもりで、自社を知ってもらいます。自社のビジネスモデルを記載しましょう。

  • 概要
  • 組織・従業員構成
  • 代表者や従業員の資質・略歴
  • 商品
  • 客層
  • 営業・プロモーション
  • 店舗・立地
  • 取引先
  • 製造工程
  • 売上・利益の状況

以下でそれぞれの項目について説明します。

概要

自社がどんな企業かを簡単に説明します。例えば、「平成○○年に創業し、○○を中心とした○○商品を扱う○○店である。」といった感じです。

組織・従業員構成

自社がどんな組織で、従業員の人材スタイルや職務内容はどのようなものかを記述します。例えば、正社員・パート・アルバイトなどの人数や所属部署の人材配置などを記述します。

代表者や従業員の資質・略歴

従業員のスキルや資格はどのようなものがあるのか。また、代表者はどのような略歴をもっていて、既存の事業とどのような関わりがあるのかを記述します

商品

自社の取り扱う商品の概要を記載します。具体的には、商品アイテム数、商品ラインアップ、商品単価などです。商品画像を貼り付けると視覚的にわかりやすくなります。

客層

自社の商品を購入していただいているお客様の特徴を記載します。具体的には、BtoBなのかBtoCなのか、年齢、性別、地域、パーソナリティ、ライフスタイルなどです。また、客層ごとの割合なんかも記載できるとベターです。

営業・プロモーション

自社の営業方法や使っている広告媒体などを記載します。また、それらのプロモーションのうち、自社の顧客はどのように来店されるのかも記載できるとベターです。

店舗・立地

店舗の内装や店舗の外観、店舗レイアウトなど売り場空間を画像とともに記載し、また、立地環境についても記載します。小売業は立地産業ともいわれますが、店舗立地が商業地なのか住宅地なのか、人通りや車通りの状況はどうかについて記載できると良いと思います。

取引先

自社の主要取引先や受発注形態について記載します。

製造工程

製造業であれば製造工程や、サービス業であればサービスを提供するまでの過程など、製品・サービスにどのような付加価値があるのかを記載します。

売上・利益の状況

過去3期分くらいの売上高と利益を推移を表で記載しましょう。また、売上高シェアの高い商品や利益を多く生み出す商品も記載できると良いです。

顧客ニーズと市場の動向

顧客ニーズと市場の動向で記載すべき項目は以下です。

  • 市場・業界の動向
  • 顧客ニーズ
  • 競合他社の分析

以下でそれぞれの項目について説明します。

市場・業界の動向

市場や業界の動向について、過去から現在、将来でどのような変化があり、どのような見通しか、どんな商品やサービスを消費者が望んでいるのかを記載します。

顧客ニーズ

自社の顧客構造(どのような顧客がどんな場面で、自社の商品・サービスを購入・消費するのはなぜか)を明確にしたうえで、どういったニーズがあるのかを記載します。また、市場や業界の動向を踏まえて、自社が取り込むべきニーズや潜在ニーズ、捉えるべきチャンスを記載します。

競合他社の分析

自社の競合他社を特定して、自社と競合他社の特徴の違いを分析します。表で記載すると視覚的にわかりやすいと思います。ポジショニングマップなども有効で、競合他社と何を差別化するのか、製品なのか、サービスなのか、社員なのか、イメージなのか、顧客に認知してもらう差別化の軸を設定します。表で記載する場合は、以下に例を示しておきます。

特徴 自社 競合A社 競合B社
顧客層 ○○ △△ □□
取扱商品 ○○ △△ □□
価格 ○○ △△ □□
立地 ○○ △△ □□
その他 ○○ △△ □□

自社や自社の提供する商品・サービスの強み

自社や自社の提供する商品・サービスの強みで記載すべき項目は以下です。

  • 他社に比べて優れている点
  • 顧客に評価されている点

以下でそれぞれの項目について説明します。

他社に比べ優れている点

上の競合他社との分析でも記載しましたが、自社及び自社の商品・サービスが他社に比べ優れている点を記載します。切り口としては、商品面、技術面、取引面、サービス面、接客面などがあります。

顧客に評価されている点

自社の強みは、顧客に認知され、評価されてこそ真の強みになります。どういった点が顧客から評価されているかを記載します。

経営方針・目標と今後のプラン

経営方針・目標は、「企業概要」、「顧客ニーズと市場の動向」、「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で記載したことを踏まえて記載する必要があります。経営的には、SWOT分析という現状分析の手法がありますが、中小企業の成長戦略の定石は、強みをチャンス(ニーズ)に生かすことです。つまり、強みとニーズを意識して記載します。

記載すべき項目は以下です。

  • 経営方針
  • 目標
  • 経営課題
  • 今後のプラン・スケジュール

以下でそれぞれの項目について説明します。

経営方針

経営方針では、強みとニーズを意識して、1年~3年先、こういった会社にしていくという方向性やビジョンを記載します。

目標

現状と比較して、1年後、2年後、3年後の売上・利益の目標や自社特有の目標(例:顧客数、顧客単価、従業員数など)を表などを使い記載します。

経営課題

経営方針や目標を達成するための経営課題を明確にします。現状と比べ目標を低くされる方はいないと思います。必ず目標は高く設定されると思いますので、現状とのギャップが存在します。そのギャップを埋めるために、自社として何をすべきかを経営課題として記載します。

今後のプラン・スケジュール

経営課題を解決するための行動計画を記載します。経営課題を解決していくために、目標年数にあったプランを1年目、2年目、3年目といった感じで記載します。そのいくつかあるプランのうち、小規模事業者持続化補助金を使い補助事業計画で実施するプランには、(補助事業)と記載しておきましょう。

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採択されるための補助事業計画書(様式3)の書き方

小規模事業者持続化補助金の様式3である補助事業計画書の構成は、1.補助事業で行う事業名、2.補助事業の具体的内容、3.補助事業の効果の大きく分けて3つです。そのそれぞれについて、採択されるための書き方をご紹介します。

補助事業で行う事業名

補助事業で行う事業名を簡潔に30文字以内で記載します。例えば、「○○を使った○○による新規顧客開拓」など、30字程度で簡潔に要約できれば大丈夫です。カッコ良く書ければ、事業に対しやる気も出ますね。

補助事業の具体的内容

補助事業の効具体的内容で記載すべき項目は以下です。

  • 補助事業で行う販路開拓の具体的内容
  • これまでの自社の取り組みと異なる点
  • 他社の取り組みと異なる点
  • 創意工夫している点や特徴
  • スケジュール計画

以下でそれぞれの項目について説明します。

補助事業で行う販路開拓の具体的内容

ストーリー性が大事です。様式2の経営計画書に記載されていることはもちろん、強みやニーズを意識して記述する必要があります。具体的内容としては、ターゲット顧客、商品・サービスの内容、販売促進策を記載する必要があります。

これまでの自社の取り組みと異なる点

これまで自社が販路開拓を行ってきた取り組みと違う点を記載できるとベターです。そこに新規性や創意工夫が見られます。

他社の取り組みと異なる点

競合他社を分析しているので、他社とどのような点が違うのか、差別化できているのか、独自性を出せているのかを記述します。

創意工夫している点や特徴

小規模事業者ならでは顧客維持・顧客獲得策であったり、革新性やユニークさなどを記載します。

スケジュール計画

補助事業を行うにあたって、小規模事業者持続化補助金では補助対象期間が設定されているので、当該期間を意識して、月別のスケジュール計画を表などで記載します。

事業 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
○○事業        
○○事業      
○○事業        

補助事業の効果

補助事業の効果で記載すべき項目は以下です。

  • 売上や利益など自社に対する効果
  • 自社以外に対する効果
  • 補助事業が効果に結び付く理由

以下でそれぞれの項目について説明します。

売上や利益など自社に対する効果

販路開拓の取り組みを行うので、売上や利益、顧客数など自社に対する効果があります。その効果を定性的(数字では表すことのできない効果)・定量的(数字で表すことができる効果)に記載するとともに、補助事業でかかるコストも意識しながら、投資対効果について記述してください。

自社以外に対する効果

補助事業で行う取り組みが、自社だけではなく、地域社会や顧客などにどのように貢献するのか、自社以外の効果についても記述してください。

補助事業が効果に結び付く理由

最後に、補助事業で行う取り組みがどのような理由で上に記載した効果に結びつくのかを矛盾のないよう論理的に記述してください。

小規模事業者持続化補助金の内容や書き方、採択されるためのコツは以上です。

小規模事業者持続化補助金まとめ

経営計画はストーリーが大事です。補助金でもそうです。ただ、加点項目や審査項目という審査基準があるので、それを意識しながら記述する必要がありますね!

いかがでしたか?

様式2の経営計画書と様式3の補助事業計画書の全体像を以下に示しておきます。

貴社の事業計画の中で、補助金が使えそうなものがあれば、活用してみるのも良いと思います。

経営計画書

1.企業概要

(1)概要

(2)組織・従業員構成

(3)代表者や従業員の資質・略歴

(4)商品

(5)客層

(6)営業・プロモーション

(7)店舗・立地

(8)取引先

(9)製造工程

(10)売上・利益の状況

2.顧客ニーズと市場の動向

(1)市場・業界の動向

(2)顧客ニーズ

(3)競合他社の分析

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み

(1)他社に比べ優れている点

(2)顧客に評価されている点

3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み

(1)経営方針

(2)目標

(3)経営課題

(4)今後のプラン・スケジュール

補助事業計画書

1.補助事業で行う事業名

2.補助事業の具体的内容

(1)補助事業で行う販路開拓の具体的内容

(2)これまでの自社の取り組みと異なる点

(3)他社の取り組みと異なる点

(4)創意工夫している点や特徴

(5)スケジュール計画

3.補助事業の効果

(1)売上・利益など自社に対する効果

(2)自社以外に対する効果

(3)補助事業が効果に結び付く理由

小規模事業者持続化補助金の書き方はおわりです~。

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